
ロカテッリの遺産:これは、アルベルト・ドゥニング(Albert Dunning)著『ピエトロ・アントニオ・ロカテッリ、妙技とその世界(Pietro Antonio Locatelli, Der Virtuose und seine welt)』からの引用であり、同書は1981年にビューレンのフリッツ・クヌフ(Frits Knuf)社(現存せず)より出版、北アメリカのペンドラゴン・プレス(Pendragon press:162W 13th st, New York, N.Y. 10011)から代理出版された。
上のロカテッリ没時の遺産目録に見られるとおり、ロカテッリはベゥカース作のフルートの10個(!)のパーツと2つの「接続部品(訳注*上記遺産目録よりの引用中、10の項内の「aanvoegstuskjes」というオランダ語部分)」(私には、それが何であるかということへの手がかりがない。足部管か?あるいは足部管の延長部品か?)を所有していたことがわかる。
(私の製作による)ベゥカースのコピーは、とても温かい音色で、音程がすばらしくよい。特筆に値するのは、第2オクターブ上のdに対して純正3度を得るのに、fおよび f♯になんの調整も必要としないという点である。第1オクターブ上ではわずかな調整を要するものの、他のほとんどのバロック・トラヴェルソとは比較にならない。とはいうものの、私の手がけるコピー楽器のfおよびf♯の音程はすべてよい。

